安全工学てつお’s blog

こんにちは、ハッピー避難プランナーのてつおです。幸せになるための避難計画書の作成について、随時アップしていこうと思います。危機管理の全般としての知識や気付いたこと、発信したいことも出てきたら情報を提供していきます。有事の際の避難計画と共に皆さんが幸せになりますように!

あなたにとっての秘密基地:避難場所(幸せな空間)の作り方3:ルート探索をしよう!(前々回の続編)

こんにちは、ハッピー避難プランナーのてつおです。

 

 

今日、お伝えしたい内容は、

あなたにとっての秘密基地の作り方 第三弾(ルート探索をしよう!)

 

です!

 

さて、皆さんは、前回までのおさらい:自分にとっての秘密基地プランは、出来ているでしょうか!?

もし、幸せって何?秘密基地って何?リスクアセスメント:危険源の同定って何?と思っている方は、前回の記事から読んでみてくださいね!

 

第一回:幸せってなに? - 安全工学者てつお’s blog

 

第二回:あなたにとっての秘密基地:避難場所(幸せな空間)の作り方2(前回の記事の続き):リスクアセスメント:危険源の同定 - 安全工学者てつお’s blog

 

 

それでは、本日もワクワクしながら、

秘密基地までのルート探索、スタート

 

秘密基地までの行き方って、実は、いろいろあるんですよね!前回までに、色々な秘密基地を作ってもらいました。今日は、一つの秘密基地に絞って様々なルートの発見をしてみましょう!

www.google.com

 

Step8:秘密基地までの行き方の手段を確認してみましょう!

 

例、徒歩?、自転車?、車?、バス?、電車?、飛行機?、船?

 

Step9:どんなルートがあるのか、出来るだけルートを洗い出してみましょう!

 例、こっちの道には、ショートカットのルートがあって、こっちより5分早くつく。この道は、どうだろうか。いっぱい、道はあるよ。こんなとこに、新しいお店があるよ!今度、行ってみようよ!

おすすめの本:逃げ地図は、とても参考になりますよ!www.amazon.co.jp

 

Step10:途中の道には、どんな危険があるでしょうか。地図をみて、想像して、できるだけ書いてみましょう

 

 例、

1:渋滞の危険:このルートは、渋滞、混雑するかも。

2:地震:陥没:家の崩壊の危険:この道は、地震が起きると崩壊しそう。

3:洪水:水没しそうなこのルートは、洪水時には、使えないな。

4:火事:煙と火炎の危険:ここは、密集地帯だから、火事になりそう。

5:プラント、工場:爆発や化学物質による漏れのきけん:ここは、火力発電所だから爆発しそう。ここの工場は、何々だから化学物質が漏れてそう。ここは、原子力発電所だから、通らないようにしよう。

6:土砂崩れ:この道は、土砂崩れ、落石がありそう。。。

7:火山の噴火:この道は、火山が噴火した時に通れない!

8:通行止め:この道は、災害時には、通れない。

9:道が狭すぎ:車、自転車での通行できない。

10台風・強風時:電柱が倒れそう!

などなど

 

Step11:秘密基地は、どのルートがどんな条件で使えそうですか?強みと弱みを比較してましょう!

例:

1:時間は、どのくらいかかる?

2:道の大きさ、広さは?車や自転車でも行ける?

3:ルートの途中には、楽しそうなお店はある?

4:それぞれのルートには、どんな危険がある?

5:他にワクワクするものは?

 

はい、今日は、ここまで!皆さん、楽しんで、いろんなルートの発見は、できたでしょうか?また、地図を見ながら気づかなかった危険の発見や新しいワクワクするお店の発見などみつけられましたか?

 

まとめ

今日、一番伝えたかったこと、それは、ルート探索しながら、色々な危険や新しいものの発見をしてもらうことで、より楽しい避難を知ってもらうことです。皆さんが、避難=億劫=大変=動きたくない。避難=冒険=新しい発見=楽しい=早く動きたいにという気持ちになってくれたらうれしいです!

 

大切な人と一緒に避難ルートを作って、新しい発見から幸せな気分になってくれたら幸いです!

 

ワクワクした気持ちで、少しでも皆さんが幸せになりますように!

 

 

tezzo1717.hatenablog.com

差別問題:愛について(教育の話)

こんにちは、ハッピー避難プランナーのてつおです。
 
 本日は、現在、ホットトピックになっている、差別問題・いじめについて、いち教育者として、発信させていただきます。
(注意:いつものワクワクとは違う繊細な内容です。)
 
一番伝えたいことは、愛から人を思いやるです。
 
今回、特に聞いてもらいたい対象は、社会的に権力を持つことの許された警察や地位の高い人物、いじめている側の人間に対してです。
 
伝えたいこと
・肉体的・心的(言葉による)暴力は、人の心に重症を負わせる可能性がある
・社会的少数(マイノリティー)の人は、基本的に優しく繊細な人であるということ
・原因は、常に加害者側にあること
・根深い差別の問題を解くひとつの鍵は、教育と愛にあること
 
 
**********************************************************************************************
 
 世の中のマイノリティー層が、一斉に声をあげている現在、ドイツで、不当な人種差別に苦しめられた自分だからこそ、伝えられることがあるのではないかと思いましたので、ここに書かせていただきます。
 
 人種差別、イジメなどによるマイノリティーに対しての肉体的・心的な暴力は、人の心に永遠に消えることのない深い傷を負わせます。その傷は、たとえ、目に見えないものであっても、一生、その被害者を精神的な障害:PTSDパニック障害など(トラウマ)として日常生活に支障が残るほどに苦しめるものです。
 
 私は、コロナや人種差別でもって、死という最悪な形で、そのような理不尽な扱いを受けてきたマイノリティーの人々が、世間の注目を浴びることになってしまったことに、深い悲しみでやりきれない気持ちになります。また、これらの出来事が、もし自分だったらと思うだけで、ぞっとするとともに、未だ癒えぬ傷が、痛みだします。
どうか、一人でも多くの人がこの苦しみの連鎖から、解放されていきますように!
 
 さて、このような根深い社会の問題ですが、昔にこの差別といじめの問題に真っ向から立ち向かい、平等の大切さを教えた偉大な先生がいました。(16分ほどのビデオですので、もし関心がある方は、見てみてください。)
 
要約:エリオット先生は、先生の教室を青い目と茶色い目の生徒たちでもって、2つに分け、両方のグループに対して、不当な扱いを受ける時間を平等に与え、差別の問題を生徒たちに疑似体験させる特別授業をおこないました。
 
 私が、ここで伝えたいことは、この差別などの理不尽な社会の問題を解決していく方法のひとつに教育があるということです。
今問題になっている、社会的に権力を持つことの許された警察などは、なおのこと、このような相手の立場になって考えられるような体験をする教育を受けてほしい。
そして、愛から人を思いやる心をもってほしい。学校や会社で、いじめている人ももちろんのこと。
 
 人は皆、生まれてきただけで、完璧な存在であると信じてます。だからこそ、一人でも多くの人が相手を思いやり、人々に愛を与えていく側の優しい人間になってほしいと願っています。
 
一人でも多くの人が幸せになっていけますように。

あなたにとっての秘密基地:避難場所(幸せな空間)の作り方2(前回の記事の続き):リスクアセスメント:危険源の同定

こんにちは、ハッピー避難プランナーのてつおです。

 

今日、お伝えしたい内容は、

 

幸せな秘密基地=避難場所の選び方2

リスクアセスメント:危険源の同定)

 

です!

 

さっそくですが、皆さんは、自分の好きなこと(幸せな空間)が、どんなものがあるかを確認することが出来ましたでしょうか!?

まだ、自分の幸せって何???秘密基地って何?とおもっている方は、是非、前回の記事から読んでみてください。 ;) 

→ 幸せってなに? - 安全工学者てつお’s blog

 

 

それでは、

幸せな秘密基地の作り方2、スタート!

 

実は、前回、いくつか挙げてもらった秘密基地の候補には、それぞれのメリットとデメリットがあります。そこで、今回は、そういった、それぞれの秘密基地の利点と欠点を洗い出して、みましょう!

Google マップ

 

Step4:自分の候補となった秘密基地はどこにあるでしょうか?分析してみましょう!

 

例、山の上、川が近い、海が近い、住宅街、隣の町?

 

Step5:自宅/職場から秘密基地への距離・時間は、どれくらい?移動手段は?それぞれ、計算してみましょう!

 

例、自宅から徒歩15分:歩いて簡単に行ける距離、 自宅から車で30分:ちょっと遠い、などなど。

 

Step6:どんな危険があるでしょうか。想像して、書いてみましょう

 

例、海は、津波が来る。森の中は、動物や危険な虫がいる。川の近くは、洪水がある。

山の上は、土砂崩れがある。街には、人が密集している感染しやすい。などなど

 

Step7:その秘密基地は、どの災害に強そうですか?メリットを洗い出してみましょう!

 

例:川や海から離れた場所は、津波や洪水の危険がすくないので、そこは、こういう災害の時に使える。自宅から近くて、ちょっと高台にある。温泉が近い。森の中は、人が少ないので、パンデミックの時には、使える。そして、癒される。この場所は、町が近いので、食料調達に困らない。などなど

 

はい、今日は、ここまで!

なんとなく、現実的なそれぞれの秘密基地のイメージが出来てきたでしょうか?

 

 

まとめ

 

今日、一番伝えたかった事、それは、さまざまな、危険からどのように戦略を立てて、自分たちにとって、一番幸せな空間を作って選択していくかです。避難場所=体育館=寝れない=辛いは、もう必要ないということです。

 

そういったイメージが出来て、ゲームと旅行感覚でワクワクしながら秘密基地づくりをして頂ければ嬉しいです!

 

ワクワクした気持ちで、少しでも皆さんが幸せになりますように!

 

tezzo1717.hatenablog.com

幸せってなに? あなたにとっての秘密基地:避難場所(幸せな空間)の作り方 1

こんにちは、ハッピー避難プランナーのてつおです。

 

今日お伝えしたい内容は、

 

1.幸せってなに?

2.あなたにとっての秘密基地避難場所(幸せな空間)の作り方 初級編 (理想の秘密基地)

 

です!

 

1.幸せについて

「お父さん、お母さん、幸せってなーに?」って子供に聞かれたら、皆さんどのようにお答えしますか?

 

例えば、ひとによっては、幸せは、野球をすることだ。とか、お酒を仲間と呑むことだとか、仕事終わりの自宅での一杯だとか、好きな人と一緒にいるときだとか、だれかに感謝されたときだとか、イケメンとのデート、美女を見てる瞬間とかとか,,,いろいろありますよね!それでいいんです!

私なら、幸せは、今、この瞬間に一緒に何気なく家族と過ごしている時間だったり、仲間と過ごせる場所だったり、美味しいごはんを食べているときだったり、温泉だったり、本を読めて勉強する環境とか、研究する時間と環境とか欲張って答えます!(欲深くてすみません(笑))

 

つまり、幸せは、人によって違うということなんです。究極を言うと、幸せって、自分の楽しいと思える環境なのではないかと思います。

 

そのように考えたなら、自分にとっての最高の避難場所は、自分がアレンジして、楽しいと思える空間だとおもいませんか。もしそんな幸せな空間が、自分の災害時の避難場所:秘密基地であったなら、皆安心して、楽しく避難しに行きたいと思いませんか? 

では、一緒にワクワクしながら、避難場所=秘密基地をつくっていきましょう!:) 

 

 

2.あなたにとっての秘密基地避難場所(幸せな空間)の作り方  初級編 (理想の秘密基地)

 

Step1:まずは、あなたにとっての幸せを出来るだけ、楽しんで、紙に書いてみましょう!

 

ヒント:自分の部屋や家、生活スタイルの中に隠れているよ!

1.家族、友人、恋人:一緒にいたい人

2.趣味や生活習慣:楽しみたいこと

(ゲーム、本、インターネット、Youtube、映画・音楽鑑賞などなど)

3.好きな食べ物、飲み物、洋服などなど:避難場所:秘密基地で食べたい飲みたい、着たい恰好

4.すみか:好きな色、空間、におい、音など:空気、騒音、などなど

5.温泉、自然、海、川、もり、アミューズメントパーク、動物園など

 

以上の例を参考にして、箇条書きにしてみましょう!自分の好きなことを改めて知る(幸せを探す作業になります!)

 

Step2:こんどは、その箇条書きにした好きなこと(幸せ

なこと)のグループ分けをしてみましょう!

 

例:

1.超好き(絶対秘密基地に必要):インターネット、本、ゲーム、家族、恋人、友人

2.好きな空間:自然の中、都会、海、森、川など

3.秘密基地のそとで簡単に手に入るもの:美味しいたべもの(うなぎ)、飲み物(ビール)

4.秘密基地のそとでできること:温泉、アミューズメントパーク、スポーツ、等

 

Step3:どんな場所が、自分の好きなことを満たせる空間?考えられる場所をあげてみましょう!

 

例:どこの、、、、温泉旅館?、友人宅?、公民館?、ホテル?、親せき宅?、自分/友人の別荘?キャンプ?まだまだ、いろいろあるでしょう!

 

 

 

今日は、ここまで! 実をいうと、これらの計画は、旅行計画に近いものがあるんです。旅行をするときってワクワクしますよね!そのような感覚で、自分の好きなことを出来る環境(秘密基地)を楽しみながら作っていって幸せな気分になってもらいたいです。

 

まとめ

 きょうは、自分の幸せって何?から始まって、自分にとっての理想な空間について、考えてもらいました。何か、避難という堅いイメージから少し、ワクワクする気持ちになってくれれば、嬉しいです!

皆さんが、幸せな気分になってくれますように!

 

tezzo1717.hatenablog.com

 

自己紹介

こんにちは、ハッピー避難プランナーのてつおです。

 

わたしは、東日本大震災以降、数々の被災地に足を運び震災調査をする中で、災害からどのようにして、人々の命を守れるか、どうしたら被災者・被害者が幸せになれるのかを追求している安全工学者です。

 

元々は、機械安全全般から労働者の安全や機械事故防止のための安全対策などを理論的に追及してきた研究者でした。

 

そういった経験と知識を生かし、どのように安全屋として様々な災害・危機から人々の命を守ることができるのかを日々追及しています。

 

私の提唱する避難方法は、従来の苦しい・億劫な避難計画ではなく、日常生活に密着した形で、いかに避難したくなるかを追求し、幸せになるための避難計画書として提示しています。

 

一人でも多くの人に幸せになっていただきたいという想いから幸せになる避難計画書の作成方法についてこのブログでは、主に発信していきたいなと思います。

 

社会安全・危機管理などの社会における安全問題についても気づいたことを発信していきます。

 

この想いが一人でも多くの方に届き、皆さんが幸せになっていけますように!

 

2020年6月2日 てつお

 

 

 

 

 

 

 

SARS-CoV2(COVID-19):新型コロナ状況下での地震、火事、洪水等、災害時の分散避難計画ガイド  

SARS-CoV2(COVID-19):新型コロナ状況下での地震、火事、洪水等、災害時の分散避難計画ガイド

                                 2020年4月20日

                   Bergische Universitat Wuppertal 筋野哲央

 

※分散避難計画については、第3章に書かれています。

 

0.緒言

 

災害対応は、どんな状況下であれ、人道支援(Humanitarian aid)の根本理念を忘れてはならない。人道支援とは、元来、災害時には、どんな立場の人間であれ、みな平等に生き残るための手段と支援を得ることが出来る機会を提供することである。この基本理念のない災害対応計画:自己責任論を基盤とした計画を作ると、実際の災害時に、避難民は、自らの命のみ助かればよい、または、自分の命は自分で守れという自己責任論から、避難所の許容量(社会の許容量)がわからないため、特定の避難所に避難をし、密集することによる危機(集団感染による患者数の増加と医療現場の崩壊におけるトリアージという究極の選択)が生じ、救える命を救えない可能性が起きる。ゆえに、統制のない自由避難(社会秩序の混乱)は、社会的な新たな危機を生むことになる。さらに、人道支援の根本理念を軽視することは、ホームレスの避難所拒否や人種差別・職業差別による受診の拒否、新型コロナ感染時のホテル滞在の拒否、回復後の職場復帰の拒否などの倫理的な問題が生じる可能性もある。これらは、社会全体としての共助と公助の機能の欠如(その国の社会システムとモラルの脆弱度)を露呈するものにあたる。すなわち、人道支援を根本的な理念において災害対応計画を作ることは、そのような無責任な災害計画から生じる新たな危機や社会的混乱を回避し、共助と公助政策(マクロ視点の政策)を充実する上で重要な指針になる。以上のことから、本投稿では、人命第一とした災害対応計画のための人道支援の基本理念、より多くの人の命を救い社会的な秩序を保つための②社会的距離、新たな危機回避のための③分散避難計画の三つについて述べ、新型コロナの危機状況下における災害時避難の基本方針を示すガイドとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人道憲章は、すべての災害や紛争から影響を受ける人びとは尊厳ある生活を営む権利を有しており、そのための保護と支援を受ける権利を保有するという、人道支援に関わる人びとの共通認識を明文化している。人道憲章に示されている原則は普遍的であり、いかなる場所のあらゆる影響を受けた人びとにも適用される。また、すべての支援者と保護を提供しようとする人びとにも適用される。これらの原則は国際法を反映しているが、根底にはすべての人間は生まれつき自由であり、尊厳と権利において平等であるという、人間性における基本的な道徳原理に基づいている。私たちはこの原則に基づき、災害や紛争から生じる人びとの苦しみを防止または緩和するための措置がなされなければならず、いかなる場合でもこの原則を変えるべきではないという人道的責務の優位性を認める。(スフィアハンドブック:人道憲章と人道支援における最低基準2018,p.28:2018)

 

このように、人道支援の理念とは、本来、災害時には、どんな立場の人間であれ、皆平等に生き残るための手段と支援を得ることが出来る機会を提供することである。この理念を念頭に置くことで、ホームレスの避難所拒否や人種差別・職業差別による受診の拒否、新型コロナ感染時のホテル滞在の拒否、回復後の職場復帰の拒否などの倫理的な問題の抑制をすることになる。また、そういった立場の人々も保護できる場所を事前に考え、受け入れるための避難所や、制度、システムの用意することを行政に要求することになり、災害時のすべての人命を守るための準備することが社会の連帯責任となる。

しかしながら、新型コロナ状況下は、医療現場の切迫によるDMAT等の災害救護チーム、自衛隊等の災害救難のチームの派遣が滞るなどが考えられる。加えて、そうした切迫した現場で、多くの怪我人、病人が発生した場合、トリアージのような究極の選択をせざるを得ない状況が生じる。そういった究極の状況を出来るだけ生じないように、災害応答チームの許容量を考えて、出来るだけ多くの命を守れるように、事前に対処する方法を考えるのが、事前災害対応計画であり、クライシスマネジメントである。そのように災害対応計画の中の医療崩壊をさせないための一つの方法として、用いられているのが、社会的距離(ソーシャルディスタンシング)の本当の位置づけである。

 

 

 

 

 

 

 

2.社会的距離(ソーシャルディスタンシング)

 

一様に、社会的距離(ソーシャルディスタンシング)と聞くと、抱擁や握手の禁止、1.5m-~2mの距離を開けて、20分以上の話を避けるように距離をとること:物理的距離(Physical Distancing:フィジカルディスタンシング)と同様に用いられる。しかし、社会的距離というのは、物理的距離も含めて、社会的なコミュニケーションや、移動などの活動の場を制限することにより、感染者数の急激な上昇による医療現場への負担の軽減と新型コロナによる犠牲者を出来るだけ少なくする目的の対策である。

 

-個人における具体的ルール CDCとドイツの社会的距離の規則参照)

・公共の場において2m以上、他人との距離をあける。

・基本的に家にいる

・家族を除くもので、公共の場で3人以上集まることの禁止(ドイツ)

 

-コミュニティーにおけるルール

・大勢の集まるイベントや集会の延期または、中止

教育機関の閉鎖

・テレワークの推奨

福祉施設、精神病院、牢獄、ホームレスの人々の衛生管理とケア

・積極的自宅避難

 

2.1 社会的距離のルール適用時の考察

European Centre for Disease Prevention and Control, Considerations relating to social distancing measures in response to COVID-19 – second update, 23 March 2020より抜粋:筆者:筋野翻訳)

 

2.1.1 社会と政治の要因

すべての国は、特定の社会的、政治的憲法をもっている。それゆえ、どの憲法がこれらの社会的距離の規則を受け入れることが出来、柔軟に対処できるのかを検討する必要がある。例えば、旅等の人々の自由な移動と行動を制限できるのかも防疫と社会的な受容とを照らし合わせて検討する必要がある。社会的距離の規則を導入した際の社会的な反応(国民の反応)を考慮しながら、緩和のための検討、予測、計画を立てることが重要である。一つの方法が全ての問題を解決することはないため、それらの規則の導入に応じた対策を練る必要がある。

 

2.1.2 人権と応答の衡平性

公衆衛生上の制限的な措置は、既存の国内法だけでなく、国連シラクサ原則や国際保健規則第3条などの国際的な法的・倫理的原則を常に尊重しなければならない。その上で、以下の条件を満たす必要がある。公共の必要性、実証された有効性と科学的合理性、比例性と侵害の最小化、互恵性、正義と公正」。感染力が高い状況の人々(感染者、もしくは濃厚接触者)が隔離されているのであれば、大衆を守る名目でそれ以外の人々を隔離することをすべきではない。

 

2.1.3 リスクコミュニケーション

包括的なリスクコミュニケーション戦略を策定すべきである。戦略は、とりわけ、実施された社会的距離対策の根拠と正当性を国民に提示しなければならない。義務化された対策について国民に知らせることに加えて、その重要な要素は、自分自身を守る手段として、個人レベルで行動を起こすように人々を奨励するべきである。さまざまな対象者を対象とすべきである。また、アウトブレイクアウトブレイクへの対応の両方についての国民の認識や意見を観察するために、モニタリングシステムを設置すべきである。

 

2.1.4 社会的な汚名

過去の感染症の流行から得られた証拠によると、隔離や隔離を受けた人々やグループは、たとえ自分自身が感染していなくても、汚名を着せられる可能性があることが示されている。誰もがある程度のリスクを抱えており、「私たちはみんな一緒だ」という連帯感を促すことで、潜在的な汚名に積極的に対処することが重要である。

 

2.1.5 社会的距離の規制下にある人々、コミュニティー支援

社会的隔離対策の遵守と実施を容易にするために、社会的隔離対策の対象となる人々やコミュニティに対して、必要不可欠なサービスや物資(食料、投薬、医療へのアクセスなど)の継続的な提供を確実にするための支援システムを準備し、伝達する必要がある。また、社会的距離対策が影響を受けた人々の精神衛生に及ぼす潜在的な影響も考慮に入れなければならない。インターネットベースの通信システム、ソーシャルメディア、電話を介した友人、家族、その他のネットワークとの接触を奨励することは、精神的な幸福を促進するための重要な手段である。人々が身体活動に従事することを奨励することの利点(自宅であろうと、単独であろうと、屋外であろうと)も強調されるべきであり、健康的でバランスのとれた食事、十分な水の摂取、喫煙、アルコール、薬物を避けるようにすることを助言すべきである。

 

2.1.6 要援護者のための特別支援

例えば、高齢者、基礎的な健康状態にある人、障害者、精神的な健康問題を抱えている人、ホームレス、および不法移民などの脆弱な人たちは、特別な支援を必要とする。当局は、これらの人々とすでに活動している市民社会や宗教団体との調整や支援を検討したいと考えるかもしれない。

 

2.1.7 連帯・相互扶助の推進

厳格な検疫措置が実施されているいくつかの国では、コミュニティが自発的に相互支援を行っているという話がある。たとえば、アパートのバルコニーから一緒に歌って保健ワーカーに拍手を送ったり、励ましのメッセージが書かれた横断幕を吊るしたり(イタリアでは「Andrà tutto bene」と訳され、「すべては大丈夫」と訳される)、食料やマスクを寄付したり、高齢者や弱者の隣人に手を差し伸べて、彼らがサポートされていると感じ、記憶されていることを確認したりすることが含まれていた。経済界からは、アルコール飲料の製造者から、多くの現場で不足している手指消毒剤の提供に焦点を当てて活動するようにとの申し出もあった。このような連帯と地域社会の相互支援を公式に認め、促進することで、人々にとって非常に困難な対策をより強固に守ることができるかもしれない。

 

2.1.8 無収益・無雇用者のための金銭的補償

制限的な社会的遠距離措置は、短期的、場合によっては中期的な財政的負担を伴う。家族、コミュニティ、および企業は影響を受け、低賃金およびゼロ時間契約の労働者は特に困難に直面している。発生した損失に対する金銭的補償は、所定の公衆衛生対策の遵守を促進する可能性があるため、より広範な予防戦略の不可欠な要素と見なされる可能性がある。

 

2.1.9 ビジネスの継続の確保

事業継続管理(BCM:BCP)とは、組織が事故や中断に関係なく、最も重要な活動やプロセスが機能することを保証する計画である。在宅勤務などの事業継続対策の中には、ウイルスの感染を減少させるものもある。事業継続は、中断による社会的影響が大きい本質的なサービス(例:法執行機関、医療、消防、長期療養施設、薬局、食料品店、インターネットプロバイダー、刑務所、公益事業(水、ガス、電気)部門)に対して確保されるべきである。事業継続支援は、障害が発生しやすい非クリティカルで小規模なビジネスにも提供されるべきである。

 

2.1.10 過程と社会的損失の評価

義務化された社会的距離対策の疫学的・社会的影響は、実施期間中ずっと監視され、それに応じてリアルタイムで適応されなければならない。措置が解除された後は、教訓を明らかにし、それによって将来の実践に情報を提供するために、例えば伝染病が再発した場合などに、それぞれの状況で体系的で包括的な事後評価を行うことが重要になる。

 

これらの対策を社会全体で守ることによって、本当に医療的なケアを必要としているすべての重症患者に適切な治療環境を与えることが目的である。

 しかしながら、自然災害発生時においては、既存の社会的距離を保ちながら、生活をすることが難しくなることが想定される。それゆえ、災害時の社会的距離を確保しながらの避難方法としての分散避難計画を提唱する。

 

3.分散避難計画(Dispersing Evacuation Planning:DEP

 

3.1 目的

 避難所に密集して人が集まらないように社会的距離の規則を出来るだけ維持しながら、医療崩壊等による災害支援が滞らないように行政・国民全員で連帯して医療従事者を守り、医療を本当に必要としているものに適切な医療的ケアの環境を与えられる状況を作ること。

 

3.2 背景

 今年も、日本が地震・噴火等自然災害大国であると同時に近年の気候変動による災害規模の変化に伴い、スーパー台風や季節豪雨など雨期シーズンによる大規模災害が予想される。それと同時に現在のSARS-CoV2 (COVID19)の流行によるパンデミックの長期化が進んだ場合、避難所内での集団感染などの可能性も考えられる。そうした現状を踏まえて、今から事前に豪雨や台風による被害が予測される土地に住む者の計画的な避難の体制を確保する必要がある。

 

3.3 分散避難計画とは

  •  災害予測危険地域に住むすべての住民の基本的人権と生活を守るために、一つの避難所に密集する状況を避け、親戚・友人宅、ホテル・旅館、考えられるすべての避難所を用いて危険地域の住民の避難する場所を分散させる避難計画。また、福祉施設、病院などの大規模グループの避難場所は、他の安全であると思われる場所に災害が起きる二日、三日前から災害時受け入れ契約(特別事前災害契約)の基に契約を結んでいる同種の施設、病院などに負担のかかりすぎない程度に受け入れてもらうための計画的な分散避難をする仕組みである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-個人や家族単位における分散避難の具体的な手順・方法

 

① 親戚や友人宅にお世話になる(事前の関係づくりと災害時対応についての話をしておく:部屋の確保のため)

 

② ホテル、旅館、コテージ、等々の空いている部屋に一時避難(避難場所になりうる場所の候補を事前に調べておく)

 

③車やキャンピングカーでの避難(車にテントやキャンプ用品を準備しておく)※冬は無理

 

④ 高齢者や障碍者、子供、疾患持ちの家族を有する者に関しては、事前に福祉施設、福祉避難所の利用を(市区町村に確認し、受け入れ先を確保する。それが難しい場合は、①、②の順でなるべく、病院に近い場所を探しておく。)

 

⑤ 上記の条件を満たせない場合、一般避難所(学校の体育館等々)に避難する。

 

上記の手順における注意と要請

 

※1:一般避難所は、集団感染になる可能性が最も高いため、出来るだけ避けてほしい。また、各個人が友人・親戚宅、ホテルやキャンプでの分散避難をすることにより、連帯責任として、なるべく一般避難所の密度を下げる協力をしてほしい。また、高齢者や疾患持ちの患者等は、極力、一般避難所をさける。

 

※2:軽度感染者、濃厚接触者、微熱症状等の感染疑いがあるものについては、*絶対*に一般避難所に来てはいけない。指定病院の近い友人、親戚やホテルに完全防備(感染させないための)の状態で訪ね、隔離してもらう場所をえる。

 

※3:COVID-19下の災害発生直後は、普段の災害時よりも様々な災害救護/支援が滞る可能性を考慮し、自分で生き延びられるように*一週間分の食料、水等の確保を事前に準備しておくこと。

 

 

 

-大規模グループ・コミュニティにおける分散避難の具体的な手順・方法

(対象:一般病院、精神病院、福祉施設特別養護老人ホーム、厚生施設、刑務所等々のグループ)

 

特別事前災害契約

施設、病院等々は、同種の全国の病院や施設に対して災害時の受け入れ可能人数を提示し、連帯として受け入れるための相互契約を結ぶことにより、出来るだけ速やかに患者や利用者の受け渡しを可能にするためのものである。

 

  • 事業継続計画BCPBCMの義務化

施設、病院等々は、災害時における患者の可能な限り、速やかな受け渡し、受け入れ要請が出来るように事前に災害時の事業継続計画(BCP、BCM)を作成し、全ての患者、利用者の受け入れ場所を明記する計画書を作る。

 

  • 患者と利用者の災害時の情報共有制度と準備

全ての患者と利用者が可能な限り適切な処置や待遇を受けられるように、災害時の施設間での患者の情報共有を出来るようなカルテ患者や利用者の特徴を捉えた簡易な看護・介護説明書の作成をする。

 

  • 患者・利用者の移送に関する手段の確立

患者・利用者が避難中に安全に移送できるような移送手段の確保をする。※①消防、警察、自衛隊、②NGO、一般NPO団体、消防団赤十字等、③バス等の移送、警備会社、移送会社等々に、移送を依頼できるような仕組みを作らなければいけない。

 

  • 特別なケア用具、薬等の予備と備蓄

新型コロナ流行下においては、長期の避難でサプライチェーンの寸断が予想されるため全ての患者・利用者が普段から使用しているケア用具や薬等の常備と予備を準備しておき、一時受け入れ先でのケアが継続できるような体制を整える。

 

上記の注意点と解説

 

※1:一つの同種の施設や病院で全ての患者や利用者を受け入れてもらうのは、無理がある上に、さらなる集団感染の可能性を高めるため、受け入れてもらう側に配慮をし、出来るだけ分散させる形で、受け入れる側、受け入れ要請側両方での契約体制をつくりあげる。

 

※2:事業継続計画に関して、未だに作成したことがない施設や病院等は、専門家に手伝ってもらう形で、作成をしていく。

 

※3:普段の患者や利用者の情報カルテ・患者や利用者の特徴を捉えた簡易な看護・介護説明書を患者を通して、手渡す形でのプライバシーの保護と同意を得るようにする。

 

※4:軽度感染者、濃厚接触者、微熱症状等の感染疑いがあるものについては、完全防備(感染させないための)の状態で隔離しながら、移送できる形を作る。3分程度ですべての移送車内の換気が出来るバスや移動手段でもって、移送中の感染拡大を防ぐ対策をする。軽度感染者用のホテルなどを利用できるように手配する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献・資料

 

  • スフィアハンドブック:人道憲章と人道支援における最低基準2018, 2018

(https://www.janic.org/blog/2019/06/05/jqan_sphere2018_pdf_ver/)

 

  • Implementation of Mitigation Strategies for Communities with Local COVID-19 Transmission, CDC, 2020

(https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/downloads/community-mitigation-strategy.pdf)( https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/community/index.html)

 

  • Verordnung über erforderliche Maßnahmen zur Eindämmung der Ausbreitung des neuartigen Coronavirus SARS-CoV-2 in Berlin (SARS-CoV-2-Eindämmungsmaßnahmenverordnung – SARS-CoV-2-EindmaßnV), Berlin, 2020

(https://www.berlin.de/corona/massnahmen/verordnung/)

 

  • European Centre for Disease Prevention and Control, Considerations relating to social distancing measures in response to COVID-19 – second update, 23 March 2020

(https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/considerations-relating-social-distancing-measures-response-covid-19-second)

 

  • Ronald W.Perry, Comprehensive emergency Management:Evacuating Threatened Populations, 1985

 

  • L.QuarantelⅡwith the assistance of Barbara Baisden and Timothy Bourdess, Evacuation Behaviour and Problems: Findings and Implications from the research literature,1980

 

  • Michael K.Lindell, Ronald W.Perry, Behavioral Foundations of Community Emergency Plnning, 1992

 

  • 中央防災会議 防災対策実行会議: 洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ,洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難 に関する基本的な考え方,2018

(http://www.bousai.go.jp/fusuigai/kozuiworking/pdf/suigai/honbun.pdf)

  • NFPA 1616, Standard on Mass Evacuation, Sheltering, and Re-entry Programs, 2020

(https://www.nfpa.org/codes-and-standards/all-codes-and-standards/list-of-codes-and-standards/detail?code=1616) 

 

10. 避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応について,

内閣府政策統括官(防災担当)付 参事官(避難生活担当) 消防庁国民保護・防災部防災課長 厚生労働省健康局結核感染症課長, 7.4.2020

コロナ禍で今後に起こりうる危機についての一考察

2020年6月1日

Wuppertal大学 社会市民安全・危機管理研究所 筋野哲央

 

危機というのは、決して自然災害だけではありません。コロナ危機は、これから起きる様々な危機の序章に過ぎないのではないかと危惧しています。世界は、繋がっています。けっして、対岸の火事になるわけではなく、正常性バイアス(自分たちには、起こりえないと考える事)をしないでください。今日は、危機管理・社会安全の一専門家としてコロナ危機後または、同時に起こりうる他の危機に関しての考察を提供させていただきます。このブログの記事が様々な危機に対する対策を考えるきっかけになりますように。もし、この最悪な予測が、現実に起こらないのであれば、それが一番です。

 

これから起きうる様々な危機:

1.世界経済第一位アメリカ、二位中国の経済活動停止による世界的な超経済危機

2.アメリカと中国内部でのデモ運動が過激暴徒化し、内戦化した場合による難民危機

3.多様な文化圏からの難民・移民流入下での様々なテロ(バイオ・IT・無差別爆撃・原発など)・犯罪における国家危機

 

危機管理ポイント

 

危機管理の原理:(現在のフェーズ:赤字

  • 危機察知計画期:危機における社会変化・ヒヤリハットをいち早く察知して、分析し、警告発信し、計画すること。
  • 準備期:最悪を想定して、危機・災害に徹底的に備える事。
  • 災害応答期:臨機応変に一人でも多くの人を救えるように最善を尽くすこと。
  • 復興期:これらの危機から学んだことを生かし、次の危機に備えて強靭な危機管理体制を整える事

 

情報:

5月25日にアメリカ合衆国ミネアポリスで、George Floydさんが白人の警察官に殺害された事件を受けて、アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人(黒人)差別におけるデモがアメリカ全土に派生し、暴徒化しています。

Source:https://fumit.blogspot.com/2020/05/i-cant-breathe.html?fbclid=IwAR3_j0KfXRAY5EZ6tnO03O5GKv1L5CB0SZPjmZH4rWnhUyRhbjV1Ipo807s

 

解説:

そもそも、この問題は、基本的な資本主義の原理:雇用主と労働者における地位格差と差別の問題からアメリカ中に存在していた格差社会の根本的な問題でした。(今泉信宏,2007) それが、コロナ危機における黒人の死亡率の圧倒的な高さ(アメリカ全土の72%のコロナ犠牲者がアフリカ系アメリカ人:黒人:四月時点)へとつながっていきます。アメリカ前大統領のオバマケアによる政策でそれなりに医療ケアできている母数は、増えたものの基本的にこの問題は、アフリカ系アメリカ人の職業が接触・不衛生状況下における仕事の割合が多いことも関係していると言われています。つまり、職業選択の自由が限られているという問題です。(Christine Ro,21st April 2020,BBC article, Coronavirus: Why some racial groups are more vulnerable) さらにこうした差別の問題は、アメリカの圧倒的な白人によるアフリカ系アメリカ人の射殺の割合の多さにも表れています。(Justin Nix, et.al, 2017)こうした、アフリカ系アメリカ人の不満と怒りの高まりは、今回の事件をきっかけとして、社会の波となって現在アメリカ中でデモが起きています。これらの不満や怒りは、今後、アフリカ系アメリカ人だけではなく、職業選択の自由のなさ、障害者、難民、外国人労働者、女性等々、不当な形で仕事を強いられているマイノリティーグループの社会的地位の低さを是正するための平等運動としてアメリカ全土にさらに、暴徒化した形で広がり、大手企業や富を多くもつモノに向けられて、資本主義の根本を揺るがすような経済活動が停止していく恐れがあります。世界第一位の経済大国であるアメリカの経済活動が止まるということは、世界の経済の不況と資本主義社会の根幹を揺るがす事態になります。

また、現在、中国でも一国二制度から一制度をうたい、同様に、ウイグル人チベット人香港人、台湾人等々に対する社会的な圧力がさらに強くなってきています。(木原雄士, 香港国家安全法 「一国一制度、金融センターに打撃」, 日本経済新聞, 2020/5/28 20:35)

こうした、社会的な圧力が、今後、香港のデモの暴徒化をきっかけとして、中国全土に広がっていく可能性もあります。そうした場合、世界第二位の経済大国の経済も停止するとなると、世界経済は、ダブルパンチで、影響を受けます。これが、経済危機です。

日本の場合、それらの経済危機が起きた場合、多くの製品を中国やアメリカから輸入しているために、食料、衣服、工業製品等々の産業(より精細な産業別のリスクアセスメントが必要)が、ダメージを受ける可能性があります。また、市場としての海外企業の株が暴落するなど、産業が成り立たなくなる恐れもあります。

この経済危機によって生じた大量の失業者は、雇用を求める移民になり、比較的に安定した生活をすることが出来るEU諸国、日本へと仕事を求めて流入する可能性もあります。また、デモの暴徒化が悪化した場合には、最悪内戦が始まることも考えられます。内戦が始まった場合は、安全を求めて難民が欧州と日本に流れてくることは、避けられません。これが、難民危機です。

こうした紛争地域での難民の流入は、いつの時代にも起きています。ベトナム戦争湾岸戦争、近年であれば、北アフリカの国々の革命とシリア内戦による大量の難民が欧州へと流入しました。私も2015年の秋からドイツに来て生活をしているため、同僚と共に小さな活動ですが、難民に対する人道支援として、寄付と下着等の支援物資を送らせて頂きました。難民危機に関しては、欧州特にドイツの難民政策の例を参考に分析、吟味して、人道支援の立場から日本ではどのように出来るのか、できないのか、または、個人、団体、組織としてどのように対処出来るのかの危機管理プランを作成する必要もあるかと思います。

また、難民が流入してきた後には、難民・移民をうたいながら、先進国に入国し、テロを画策するテロリスト等の犯罪者が入ってくることも考えなければなりません。欧州での難民危機発生以降、アラブ諸国からのISのテロリストたちが、欧州への流入をきっかけに各国に入国し、無差別テロが、数多く発生しました。こうしたことが起きると、今の平穏無事な日本の秩序は、壊されて、混沌の状態が発生する可能性があります。そうなると、外国人排斥運動や難民差別の助長につながる可能性もあります。私もそういった、外国人差別によって知らない人に罵声を浴びせられたり、嫌がらせを受けたり、不当な扱いをされてすごく苦しんできた一人です。それゆえ、こういうことは、愛する母国である日本では、絶対に起きないでほしいと願っています。

 さらに、今現在の日本の法律では、どこの国のものであろうとも土地を買うことが容易になっています。現に北海道や様々な地域の土地が、多くの外国人に買い占められている現状があります。(佐藤 郁夫、北海道開発協会広報)多くの資本のもつアメリカ・中国人富裕層難民が日本に流入し、こうした社会秩序が乱れた現状が続くと、日本が日本の仕組みとして機能してこなくなるという国家危機が起きる可能性もあります。

 そういった混沌と混乱の中での自然災害とパンデミック、、、多くの複合的な災害が絡起きてしまったら、どのように難民を支援するのか、また、国民をどのように災害から守っていくのか等の対策がさらに必要になると思われます。

 どんな国・世界の人であれ、皆人は、平等に生きる権利があると信じています。だからこそ、今から考えられる対策を取り、一人でも多くの命が災害から救われますように行動を起こしていきましょう。

 

まとめ

今回は、コロナ危機とは、別に起こりうる危機について

.世界経済第一位アメリカ、二位中国の経済活動停止による世界的な超経済危機

.アメリカと中国内部でのデモ運動が過激暴徒化し、内戦化した場合による難民危機

.多様な文化圏からの難民・移民流入下での様々なテロ・犯罪における国家危機について考察させていただきました。一個人の専門家からの提言で恐縮ですが、実際にこれらの危機が来る来ないにかかわらず、こうした数々の危機に備えて、それぞれ個人の視点や、各専門家、団体または、政府の視点から皆で対策と準備をしていく必要があると思います。特に日本は、今回のコロナ危機でもわかるように国民の意識の中に他を思いやり、相手に迷惑をかけないようにという大変優しい国民性から出来るだけ多くの人々の命を守ることに成功してきました。そのため、次に来ると思われる危機にも、国民で団結して、守っていけると思うのです。以上のことからまずはこの考察が、それぞれの危機のアセスメントと脆弱性を洗い出して、一人でも多くの人の命を救えるように、対策を講じるきっかけになれば幸いです。

 

 

参考文献

 

1.Fumi's Travelblog (https://fumit.blogspot.com/?fbclid=IwAR3_j0KfXRAY5EZ6tnO03O5GKv1L5CB0SZPjmZH4rWnhUyRhbjV1Ipo807s :2020531日アクセス)

2.今泉 信宏, Rampant Racism in America (1), 総合政策研究 (25), 9-16, 2007-03 

3.Christine Ro,21st April 2020,BBC article, Coronavirus: Why some racial groups are more vulnerable(https://www.bbc.com/future/article/20200420-coronavirus-why-some-racial-groups-are-more-vulnerable)

4.Justin Nix  Bradley A. Campbell  Edward H. Byers  Geoffrey P. Alpert, A Bird's Eye View of Civilians Killed by Police in 2015, 08 February 2017

5.木原雄士, 香港国家安全法 「一国一制度、金融センターに打撃」, 日本経済新聞, 2020/5/28 20:35(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59712620Y0A520C2FF8000/)

6.佐藤 郁夫, 〜グローバル化時代の生き残りに向けて〜 外資による土地買収問題~,05.2011,北海道開発協会( https://www.hkk.or.jp/kouhou/file/no574_shiten.pdf)