安全工学てつお’s blog

こんにちは、ハッピー避難プランナーのてつおです。幸せになるための避難計画書の作成について、随時アップしていこうと思います。危機管理の全般としての知識や気付いたこと、発信したいことも出てきたら情報を提供していきます。有事の際の避難計画と共に皆さんが幸せになりますように!

コロナ禍で今後に起こりうる危機についての一考察

2020年6月1日

Wuppertal大学 社会市民安全・危機管理研究所 筋野哲央

 

危機というのは、決して自然災害だけではありません。コロナ危機は、これから起きる様々な危機の序章に過ぎないのではないかと危惧しています。世界は、繋がっています。けっして、対岸の火事になるわけではなく、正常性バイアス(自分たちには、起こりえないと考える事)をしないでください。今日は、危機管理・社会安全の一専門家としてコロナ危機後または、同時に起こりうる他の危機に関しての考察を提供させていただきます。このブログの記事が様々な危機に対する対策を考えるきっかけになりますように。もし、この最悪な予測が、現実に起こらないのであれば、それが一番です。

 

これから起きうる様々な危機:

1.世界経済第一位アメリカ、二位中国の経済活動停止による世界的な超経済危機

2.アメリカと中国内部でのデモ運動が過激暴徒化し、内戦化した場合による難民危機

3.多様な文化圏からの難民・移民流入下での様々なテロ(バイオ・IT・無差別爆撃・原発など)・犯罪における国家危機

 

危機管理ポイント

 

危機管理の原理:(現在のフェーズ:赤字

  • 危機察知計画期:危機における社会変化・ヒヤリハットをいち早く察知して、分析し、警告発信し、計画すること。
  • 準備期:最悪を想定して、危機・災害に徹底的に備える事。
  • 災害応答期:臨機応変に一人でも多くの人を救えるように最善を尽くすこと。
  • 復興期:これらの危機から学んだことを生かし、次の危機に備えて強靭な危機管理体制を整える事

 

情報:

5月25日にアメリカ合衆国ミネアポリスで、George Floydさんが白人の警察官に殺害された事件を受けて、アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人(黒人)差別におけるデモがアメリカ全土に派生し、暴徒化しています。

Source:https://fumit.blogspot.com/2020/05/i-cant-breathe.html?fbclid=IwAR3_j0KfXRAY5EZ6tnO03O5GKv1L5CB0SZPjmZH4rWnhUyRhbjV1Ipo807s

 

解説:

そもそも、この問題は、基本的な資本主義の原理:雇用主と労働者における地位格差と差別の問題からアメリカ中に存在していた格差社会の根本的な問題でした。(今泉信宏,2007) それが、コロナ危機における黒人の死亡率の圧倒的な高さ(アメリカ全土の72%のコロナ犠牲者がアフリカ系アメリカ人:黒人:四月時点)へとつながっていきます。アメリカ前大統領のオバマケアによる政策でそれなりに医療ケアできている母数は、増えたものの基本的にこの問題は、アフリカ系アメリカ人の職業が接触・不衛生状況下における仕事の割合が多いことも関係していると言われています。つまり、職業選択の自由が限られているという問題です。(Christine Ro,21st April 2020,BBC article, Coronavirus: Why some racial groups are more vulnerable) さらにこうした差別の問題は、アメリカの圧倒的な白人によるアフリカ系アメリカ人の射殺の割合の多さにも表れています。(Justin Nix, et.al, 2017)こうした、アフリカ系アメリカ人の不満と怒りの高まりは、今回の事件をきっかけとして、社会の波となって現在アメリカ中でデモが起きています。これらの不満や怒りは、今後、アフリカ系アメリカ人だけではなく、職業選択の自由のなさ、障害者、難民、外国人労働者、女性等々、不当な形で仕事を強いられているマイノリティーグループの社会的地位の低さを是正するための平等運動としてアメリカ全土にさらに、暴徒化した形で広がり、大手企業や富を多くもつモノに向けられて、資本主義の根本を揺るがすような経済活動が停止していく恐れがあります。世界第一位の経済大国であるアメリカの経済活動が止まるということは、世界の経済の不況と資本主義社会の根幹を揺るがす事態になります。

また、現在、中国でも一国二制度から一制度をうたい、同様に、ウイグル人チベット人香港人、台湾人等々に対する社会的な圧力がさらに強くなってきています。(木原雄士, 香港国家安全法 「一国一制度、金融センターに打撃」, 日本経済新聞, 2020/5/28 20:35)

こうした、社会的な圧力が、今後、香港のデモの暴徒化をきっかけとして、中国全土に広がっていく可能性もあります。そうした場合、世界第二位の経済大国の経済も停止するとなると、世界経済は、ダブルパンチで、影響を受けます。これが、経済危機です。

日本の場合、それらの経済危機が起きた場合、多くの製品を中国やアメリカから輸入しているために、食料、衣服、工業製品等々の産業(より精細な産業別のリスクアセスメントが必要)が、ダメージを受ける可能性があります。また、市場としての海外企業の株が暴落するなど、産業が成り立たなくなる恐れもあります。

この経済危機によって生じた大量の失業者は、雇用を求める移民になり、比較的に安定した生活をすることが出来るEU諸国、日本へと仕事を求めて流入する可能性もあります。また、デモの暴徒化が悪化した場合には、最悪内戦が始まることも考えられます。内戦が始まった場合は、安全を求めて難民が欧州と日本に流れてくることは、避けられません。これが、難民危機です。

こうした紛争地域での難民の流入は、いつの時代にも起きています。ベトナム戦争湾岸戦争、近年であれば、北アフリカの国々の革命とシリア内戦による大量の難民が欧州へと流入しました。私も2015年の秋からドイツに来て生活をしているため、同僚と共に小さな活動ですが、難民に対する人道支援として、寄付と下着等の支援物資を送らせて頂きました。難民危機に関しては、欧州特にドイツの難民政策の例を参考に分析、吟味して、人道支援の立場から日本ではどのように出来るのか、できないのか、または、個人、団体、組織としてどのように対処出来るのかの危機管理プランを作成する必要もあるかと思います。

また、難民が流入してきた後には、難民・移民をうたいながら、先進国に入国し、テロを画策するテロリスト等の犯罪者が入ってくることも考えなければなりません。欧州での難民危機発生以降、アラブ諸国からのISのテロリストたちが、欧州への流入をきっかけに各国に入国し、無差別テロが、数多く発生しました。こうしたことが起きると、今の平穏無事な日本の秩序は、壊されて、混沌の状態が発生する可能性があります。そうなると、外国人排斥運動や難民差別の助長につながる可能性もあります。私もそういった、外国人差別によって知らない人に罵声を浴びせられたり、嫌がらせを受けたり、不当な扱いをされてすごく苦しんできた一人です。それゆえ、こういうことは、愛する母国である日本では、絶対に起きないでほしいと願っています。

 さらに、今現在の日本の法律では、どこの国のものであろうとも土地を買うことが容易になっています。現に北海道や様々な地域の土地が、多くの外国人に買い占められている現状があります。(佐藤 郁夫、北海道開発協会広報)多くの資本のもつアメリカ・中国人富裕層難民が日本に流入し、こうした社会秩序が乱れた現状が続くと、日本が日本の仕組みとして機能してこなくなるという国家危機が起きる可能性もあります。

 そういった混沌と混乱の中での自然災害とパンデミック、、、多くの複合的な災害が絡起きてしまったら、どのように難民を支援するのか、また、国民をどのように災害から守っていくのか等の対策がさらに必要になると思われます。

 どんな国・世界の人であれ、皆人は、平等に生きる権利があると信じています。だからこそ、今から考えられる対策を取り、一人でも多くの命が災害から救われますように行動を起こしていきましょう。

 

まとめ

今回は、コロナ危機とは、別に起こりうる危機について

.世界経済第一位アメリカ、二位中国の経済活動停止による世界的な超経済危機

.アメリカと中国内部でのデモ運動が過激暴徒化し、内戦化した場合による難民危機

.多様な文化圏からの難民・移民流入下での様々なテロ・犯罪における国家危機について考察させていただきました。一個人の専門家からの提言で恐縮ですが、実際にこれらの危機が来る来ないにかかわらず、こうした数々の危機に備えて、それぞれ個人の視点や、各専門家、団体または、政府の視点から皆で対策と準備をしていく必要があると思います。特に日本は、今回のコロナ危機でもわかるように国民の意識の中に他を思いやり、相手に迷惑をかけないようにという大変優しい国民性から出来るだけ多くの人々の命を守ることに成功してきました。そのため、次に来ると思われる危機にも、国民で団結して、守っていけると思うのです。以上のことからまずはこの考察が、それぞれの危機のアセスメントと脆弱性を洗い出して、一人でも多くの人の命を救えるように、対策を講じるきっかけになれば幸いです。

 

 

参考文献

 

1.Fumi's Travelblog (https://fumit.blogspot.com/?fbclid=IwAR3_j0KfXRAY5EZ6tnO03O5GKv1L5CB0SZPjmZH4rWnhUyRhbjV1Ipo807s :2020531日アクセス)

2.今泉 信宏, Rampant Racism in America (1), 総合政策研究 (25), 9-16, 2007-03 

3.Christine Ro,21st April 2020,BBC article, Coronavirus: Why some racial groups are more vulnerable(https://www.bbc.com/future/article/20200420-coronavirus-why-some-racial-groups-are-more-vulnerable)

4.Justin Nix  Bradley A. Campbell  Edward H. Byers  Geoffrey P. Alpert, A Bird's Eye View of Civilians Killed by Police in 2015, 08 February 2017

5.木原雄士, 香港国家安全法 「一国一制度、金融センターに打撃」, 日本経済新聞, 2020/5/28 20:35(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59712620Y0A520C2FF8000/)

6.佐藤 郁夫, 〜グローバル化時代の生き残りに向けて〜 外資による土地買収問題~,05.2011,北海道開発協会( https://www.hkk.or.jp/kouhou/file/no574_shiten.pdf)